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数列の極限の基礎は何か.

・第n項が計算できる.
・n → ∞を求めることができる.

数列の極限において,基礎は何か.

 数列の極限の学習において,最低限計算できなければならない(基礎)は以下の2つである.

  1. nn項が計算できる.
    • nn項の計算とは,自然数nnに対応する数(ana_n)をnnで表すこと.
  2. nn \rightarrow \inftyを求めることができる.

 これらができれば後は応用なので,自分で考えたり,問題のパターンを整理することになる.

なぜこの2つなのか.

 極限は未定義の対応関係を定めることである.したがって,数列の極限は自然数nn\inftyのとき(未定義)の対応関係を定めるのである. そのために第nn項をnnで表し,これをもとにnn \rightarrow \inftyして対応値を推定・定めることになる.

自然数と数列の対応関係
自然数と数列の対応関係

 もう少しだけ詳細に説明する.数列は自然数nnとそれに対応する数ana_nの対応関係と見ることができる.自然数に\inftyはないので,第nn項に現れるnnを大きくすることで 対応値を推定し,それに定めることになる.したがって,自然数nnに対応する第nn項をnnで表し(計算し), 自然数nnをとてつもなく大きく(\infty)したときの対応値を求めることが基礎になる.

第n項の計算の基礎は何か.

 等差・等比関係をもとに第nn項をnnで表す(計算する)ことが基礎となる.高校数学では等差数列もしくは等比数列(第nn項と第n+1n+1項の関係が等差か等比) しかない.つまり,an+1=an+dan+1=rana_{n+1} = a_n + d,a_{n+1} = ra_{n}である.この等差・等比関係をもとに第nn項を計算できればよい.(計算方法は別のいろいろなところで 解説されているので,そちらを参照願う.)

nn項の計算の基礎


等差・等比関係をもとに,第n項をnで表す(計算する)こと.等差・等比関係をもとに,第n項をnで表す(計算する)こと.

 学習が進むと,級数SnS_nについても計算することになる.これも第nn項と第n+1n+1項の関係が等差・等比しかないので,基礎ができれば問題はない.第nn項が計算できれば, nn \rightarrow \inftyを求めるだけだから.

n → ∞の計算の基礎は何か.

 上で書いたとおり,極限は未定義の対応関係を定めることなので,数列においてやることはnn \rightarrow \inftyしかない.そしてこの計算の基礎は以下となる.

n → ∞の計算の基礎


limnn が発散する() もしくは limn1n=0\lim_{n \to \infty} n \ が発散する(\infty) \ もしくは \ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0

 limn1n=0\lim_{n \to \infty} \tfrac{1}{n} = 0は説明が必要である.これが言いたいことは,nn \rightarrow \inftyのとき,分子と分母を比較すると 分母が分子を無視できるほど大きくなる形に変形して,00にすることである. 例えば,

limnn2n=0\lim_{n \to \infty} \frac{n}{2^n} = 0

は分母2n2^nが分子nnよりとても大きくなるので,00に収束する.変形して00にするということは,

2n+n2n+3=1+n2n1+32n1 (n)\frac{2^n+n}{2^n+3} = \frac{1+\frac{n}{2^n}}{1+\frac{3}{2^n}} \rightarrow 1 \ ( n \rightarrow \infty )

ということ.