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連立n元1次多項式から行列を定義する.

 行列はとてもわかりづらい.線形代数で行列を勉強していると思っていても,ベクトルが出てくるし, 矢印を考えるとわかりやすいとか書かれているし.意味が不明である.

 行列は独立した数学的概念として体系化されて,今は数学の一分野である.そのためか, 行列の概念がわかりづらく,連立一次方程式を効率的に解くための手段であったことが見えない. きちんと関係付けながら理論を展開していきたい.しかし,このブログの線形代数に関する最終目標はジョルダン標準形なので, 連立方程式が見えなくなるかもしれない.

 n元1次多項式について,読者と認識合わせをしておきたい.行列の定義で使いたいからだ. n元1次多項式とは,元(変数)𝑥,𝑦,𝑧,に係数𝑎,𝑏,𝑐,を掛け合わせた上で,それらを足したものだ. 例えば,3元1次多項式なら

𝑎𝑥+𝑏𝑦+𝑐𝑧

である.

 連立n元1次多項式とは,n元1次多項式が複数あるものだ.ただし,複数ある多項式のn個の元はすべて同じだ. ある多項式に使われている元が𝑥,𝑦,𝑧なら,連立している他の多項式の元も𝑥,𝑦,𝑧である. 例えば,連立3元1次多項式なら元𝑥,𝑦,𝑧を使って,

{2𝑥+3𝑦+4𝑧𝑥+2𝑦+5𝑧

 誤って読み取ってはならないのは,上記は右辺がないということ.多項式なので,右辺の=5のようなものはありません. ここで言いたいのは連立多項式であり,連立方程式ではない

 連立n元1次多項式が明らかになったので,行列を定義する.

行列

 行列とは,連立n元1次多項式の係数を並べたもの.

 例えば,2つの3元1次多項式

{2𝑥+3𝑦+4𝑧𝑥+2𝑦+5𝑧なら(213245)

 順番は大切である.行列表記になると元𝑥,𝑦,𝑧が見えないが,元との順番に関係しているので, 注意が必要である.