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線形写像と1次結合の行列表記

定理6.3.3

 𝑉,𝑊をベクトル空間,𝑓:𝑉𝑊 を線形写像とする.

 𝑉𝑚 個のベクトル 𝒖1,,𝒖𝑚𝑉𝑛 個のベクトル𝒗1,,𝒗𝑛𝑚×𝑛 行列 𝐴=(𝑎𝑖𝑗) が,次の関係を満たしているとする.

(𝒗1𝒗𝑛)=(𝒖1𝒖𝑚)𝐴

すなわち,

𝒗𝑗=𝑚𝑖=1𝑎𝑖𝑗𝒖𝑖(𝑗=1,,𝑛)

そのとき,

(𝑓(𝒗1)𝑓(𝒗𝑛))=(𝑓(𝒖1)𝑓(𝒖𝑚))𝐴

 ベクトル空間 𝑉,𝑊 の間に線形写像が定義されている.このとき,𝑉の2つのベクトルの組の間に行列 𝐴倍の関係があれば、これらに対応する𝑊の2つのベクトルの組の間にも行列𝐴倍の関係がある.2つのベクトルの組が変われば,行列も変わる.

線形写像と1次結合の行列表示の関係
線形写像と1次結合の行列表>示の関係

 わかりづらいので,整理する.

仮定A1
𝑓:𝑉𝑊線形写像である
仮定A2
(𝒗1𝒗𝑛)=(𝒖1𝒖𝑚)𝐴すなわち,𝒗𝑗=𝑚𝑖=1𝑎𝑖𝑗𝒖𝑖
結論B
(𝑓(𝒗1)𝑓(𝒗𝑚))=(𝑓(𝒖1)𝑓(𝒖𝑚))𝐴

 (結論B)は2つのベクトルが等しいことを主張している.これを示すには、成分同士が等しいことを示せばよい。すなわち、

𝑓(𝒗𝑗)=𝑚𝑖=1𝑎𝑖𝑗𝑓(𝒖𝑖)(𝑗=1,,𝑛)[(𝐵1)]

を示す.

(仮定A2)より,𝒗𝑗=𝑚𝑖=1𝑎𝑖𝑗𝒖𝑖であることと,(仮定A1)の𝑓の線形性から,

𝑓(𝒗𝑗)=𝑓(𝑎1𝑗𝒖1+𝑎2𝑗𝒖2++𝑎𝑚𝑗𝒖𝑚)=𝑓(𝑎1𝑗𝒖1)+𝑓(𝑎2𝑗𝒖2)++𝑓(𝑎𝑚𝑗𝒖𝑚)=𝑓(𝑎1𝑗𝒖1)+𝑓(𝑎2𝑗𝒖2)++𝑓(𝑎𝑚𝑗𝒖𝑚)=𝑚𝑖=1𝑎𝑖𝑗𝑓(𝒖𝑖)(𝑗=1,,𝑛)

よって,(B1)が示せた.したがって,(結論B)が示せた.