定理7.3.3
f:V→Wを線形写像とするとき,fが単射であるための必要十分条件は
dim(Imf)=dimV.
定理の主張
次元定理からわかるとおり,fが線形写像のみの性質を持つならdimV=dim(Imf)である.しかしこの定理ではfが単射なら,VとImfの次元が同じになると言っている.(正しくは逆も成り立つという主張.)
線形写像の単射性とベクトル空間の対応関係
線形写像とベクトル空間の対応関係
証明の考え方
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fが単射⟹dim(Imf)=dimV
真正面から証明しようとするなら,dim(Imf)≤dimVかつdim(Imf)≥dimVを示せばよいが,定理7.3.2と次元定理から導出できそう.
fは単射であるとする.定理7.3.2よりKerf={0}.よって,dim(Kerf)=0.次元定理より,dimV=dim(Imf)+dim(Kerf)なので,dimV=dim(Imf).
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dim(Imf)=dimV⟹ fが単射
こちらも真正面から証明しようとするなら,単射の定義からfが単射であること導く.しかし,こちらも次元定理と定理7.3.2から導けそう.
dim(Imf)=dimVとする.次元定理よりdim(Kerf)=0.これとfは線形写像であることより,Kerf={0}.定理7.3.2からfは単射.
復習ノート
- 次元の関係性はfが線形のときとfが線形+単射の場合で,どう異なるのか.
- 写像による対応関係,次元との関係を図示できるか.