いかにして数学書を読むか.
理解しながら読むこと.
「理解しながら読むこと」が一番大切である.これがすべてと言っても過言ではない.ただ,何を理解すればいいのだろうか.以下に示す.
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抽象化・具体化することで,単元の意味・数学的意味・著者の主張を理解する.抽象化の1つの方法は,複数のページ・単元・定理などをまとめて,これらが何を主張しているのか説明できるようになればよい.抽象化って何をすればいいのかいまいちわからなければ,まずこのような本を読み,抽象化とは何か理解する.
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集合・写像・論理の言葉で理解する. 数学書は進むにつれて,これらの言葉で説明されることはなくなる.すると学習している概念が組織化・体系化できず,数学がわからなくなる.
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定理・定義・ページ・文章・例題・図などの主張を理解する. 数学用語で書かれているからか,言葉どおり読むだけでは理解できない.数学的に誤りなく記述するので,理解しなければならない主張は隠れている.
また,逆もある.
- 記号的(暗記的)な理解をしない. 例えば,数列の極限の定義である.文字で覚えて,それが使えれば証明できることもあるので,楽である.しかし,これは技術的なことで読めているとは言えない.
意識しておくことがある.
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決して理解を諦めないこと. 諦めたら,そこから数学の向上は見込めなくなる.数学の学習はそこで終了である.
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疑問で立ち止まること. 意味がわからなく,理解できない場合にふと疑問が湧くはずである.これを放置せず,立ち止まって,解消しなければならない.すぐに解消できないことはとても多いが,そのときは別紙に書き出し,後で必ず疑問の解消に努める.
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証明の行間が埋まらないこと,また理解できないのは自分のせいであること. 数学書の著書は数学者が多く,読者より数学がわかっているはずである.なので,まずは自分のせいと考える.著者のせいにするのは最後でいい.
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今までの理解と矛盾しないか.誤解して理解しているとどこかで不整合が発生する.これは疑問のもとである.
読み方がある.
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証明は証明の作法に則って書き直す. 証明は著者の思考を整理して書かれている.証明には証明の作法があるので,それに沿って書き直すと論理の飛躍や行間が抑えられ,理解がしやすくなる.
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書きながら,読む. 見るだけでは思考や文字がすべってしまい,わかっていないことをわかっているものと誤解してしまう.すると,ページが進むにつれてわからないことだらけになり,数学がつまらなくなる.
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わからなければ前のページに戻る.わかるところまで戻る. 何がわかっていないのか整理して,それを解消しないと進めない.わかるところまで戻る.もしかしたら,最初のページの定義がわかっていないのかもしれない.それでもそこまで戻る.
以上