大学受験数学は教科書で学ぶべきか.
大学受験の数学(高校で学ぶ数学)は教科書で学ぶのが一番である. 受験の出題範囲の内容がコンパクトに正しくまとめられているから,正しく読めれば一番の教材である. 正しく読めればそれなりに数学がわかってくるし,コンパクトだから最後まで終わらせられる. 最後までちゃんと正しく読んで勉強すれば,全体像も見えてきて,理解を深められる.
ぶ厚い参考書(チャート式みたいな)は正しくまとめられていないのだろうか. 参考書は受験数学の研究結果(解法パターンとか)をまとめたものであり,数学をまとめたものではない. それゆえぶ厚くなってしまう.ぶ厚さゆえ,いつ終わるかわからない.
ただ,教科書も完璧ではない.あなたの数学の力を必ず向上させることはできないし, 読めば必ずわかるように書かれているわけではない.我々はそもそも数学の勉強の仕方など教わっていない. それでは数学ができるようになんてならない.
正しい読み方はどう読むのか.
(数学に限らないが)どのように教科書を読めばいいのか.それは教科書に書かれている内容について,
- 何の話題・主張・問いについて読んでいるのか.
- その話題・主張・問いの結論は何か.
- 結論に至る根拠・証明は何か.
を整理することだ.
具体的に説明する.微分について学び始めたとしよう. すると話題・主張・問いは何かと言えば「微分とは何?」である. 教科書を少し読み進めるとその結論は「微分とはグラフの傾きのこと」と書いてある. なぜ傾きなのか,その根拠を得るためにそのページ周辺を読むと,微分の定義
などが書かれている.つまり,根拠は定義であるということ. よって,話題・結論・根拠が得られた.
数学においては,正しく読むのにさらに1段階進まなければならない. 上の例えで言えば,「微分の定義はどういう意味なのか(なぜこの定義なのか)」を問うことである. この問いを考えることが数学をすることである.結論としては「グラフを座標平面上で考えれば,正しい」 である.根拠は,は三角形の斜辺を表しており, その値は座標平面上では傾きととらえられるからである.
なぜ三角形を考えるのか.このように問いは尽きないだろうが,本節の主張が頭から薄れてしまうので, ここでやめておく.
誤った読み方はどんな読み方なのか.
逆に誤った読み方はどのようなものなのだろうか.それは思考停止した読み方である. つまり,教科書に書かれていることを鵜呑みにし,自分で考えず(話題・結論・根拠を整理しない), 理解を深めようとしない読み方である.
定理・公式を機械的に丸暗記1することは誤った読み方良い例である. 丸暗記では特定の問題に当てはめて解答することしかできず,応用ができない. また当てはめられるパターンを覚えることも発生し,記憶の悪循環が起こる. 応用できればいい・覚えるの得意だから問題ないということではない.限界はあるので,いつか破綻する.
また,読み飛ばすことも誤った読み方である.たとえば,
- 用語・記号の読み飛ばし.
- 例題・解説の読み飛ばし.
- 図・グラフの読み飛ばし.
などである.
教科書に書かれている用語・記号の意味を理解せず読み進めることはよくある. しかし,用語・記号の意味を理解しなければ,教科書の話題・主張/その結論を読み解けない. また,自力で正解に至ったからといって例題・解説を読み飛ばせば,話題・主張の根拠が読み解けない. 図・グラフも同様である.
読み飛ばすことはそのまま「読めていない」ことなので,誤った読み方である.
為になる参考動画
数学をちゃんとしている方が,数学の教科書の読み方を解説している動画である. 為になるので,貼っておく.
Footnotes
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語呂合わせなどで公式を暗記してはいけないわけではない.計算負荷を減らせるので良いと思う. ↩