コンテンツにスキップ

実数間の有理数の存在(定理1.4)

定理1.4

 任意の2つの実数𝛼,𝛽,𝛼<𝛽に対して,𝛼<𝑟<𝛽なる有理数𝑟が無数に存在する.

 これは定理1.3の逆のようなイメージで, 実数の間には有理数が無数に存在するということ. 有理数を実数とみなせば,実数が無数に存在することにもなる.

 定理1.3は実数は有理数を2つに切断できるものとしてよいということだった.それはつまり,有理数の間に実数があるということ. 定理1.4では立場を逆転させ,実数の間の有理数の存在の話をしている.

 𝛼=𝐴,𝐴,𝛽=𝐵,𝐵とする. 𝛼<𝛽より,𝐴𝐵.つまり,𝑏𝐵,𝑏𝐴なる有理数𝑏が存在する.

  1. 無数に存在することを示す.

     𝑏𝐴なので,𝑏𝐴である.よって,𝛼𝑏𝑏𝐵なので,切断の条件2.のBには最大の有理数は存在しないことから, 𝑏<𝑠𝑠𝐵なる有理数𝑠が存在する.これは𝑠<𝛽である.

     有理数𝑏𝑠に注目すると,𝑏<𝑠なので有理数の稠密性から𝑏<𝑟<𝑠なる有理数𝑟が無数に存在する. このとき,𝛼<𝑏<𝑟<𝑠<𝛽となる,すなわち𝛼<𝑟<𝛽となる.

以上から,𝛼<𝑟<𝛽なる有理数𝑟が無数に存在することが示せた.

  • 実数の大小関係はどのように定義しているか.