コンテンツにスキップ

実数は有理数で近似できる.(定理1.5)

定理1.5

 自然数mmが与えられたとする.このとき,任意の実数α\alphaに対し,

a<αa+1ma < \alpha \leq a + \frac{1}{m}

なる有理数aaが存在する.

定理の主張

 実数α\alphaは有理数でいくらでも近似できる.近似精度は自然数mmによる.

証明の考え方

 α=A,A\alpha = \langle A, A^{\prime} \rangleとする.自然数mmを何かひとつ決めたとして, aAa+1mAa \in A,a + \frac{1}{m} \in A'なる有理数aaが構成できることを示せばよい.

  1. 有理数aaを構成する.

    rA,sAr \in A, s \in A^{\prime}を取る.rからsrからsまでをmm分割して,そのnn倍をrrから加算したものをana_nとおく. すなわち,

    an=r+(sr)nma_n = r + \frac{(s-r)n}{m}
    図1
    図1

    とおく.

    ana_nは常に有理数で,n=0n=0のときa0=rAa_0 = r \in Aで,n=mn=mのときam=sAa_m = s \in A'となるので, ana_nnn00から増えるに従い,いつかAAの元からAA'の元になるはずである.

    つまり,a0A,anAa_0 \in A, a_n \in A^{\prime}から,ak<αak+1a_k < \alpha \leq a_{k+1}なる自然数kk0<km0<k\leq mに存在する.

    図2
    図2

    ak=aa_{k} = aとすれば,a<αa+1ma < \alpha \leq a + \frac{1}{m}なる有理数aaが存在することになる.

復習ノート

  • 有理数の切断の条件1.,2.,3.,3’.は何だったか.