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実数の極限の定義(定義1.4)

定義(数列)

 α1,α2,,αn,\alpha_1, \alpha_2, \cdots, \alpha_n, \cdots のように実数を一列に並べたものを数列といい,{αn}\{ \alpha_n \}で表わす.

定義1.4

 数列{α}\{ \alpha \}が与えられたとし,α\alphaを1つの実数とする.任意の正の実数ε\varepsilonに対応して自然数n0(ε)n_0(\varepsilon)が定まって,

n>n0(ε) ならば αnα<εn > n_0(\varepsilon) \space ならば \space |\alpha_n - \alpha| < \varepsilon

となるとき,数列{αn}\{ \alpha_n\}α\alphaに収束する,またα\alphaは数列{αn}\{ \alpha_n \}の極限である,あるいは極限値であるといい,

limnαn=α\lim_{n \to \infty} \alpha_n = \alpha

と書く.

定義の主張

 α\alphaとの距離がどんなものでも,数列がその範囲に無数にあるとき, 数列がα\alphaに収束するということ.

 nnが限りなく大きいとαn\alpha_nα\alphaにとても近いと主張している. α\alphaとの近さをどのように決めても,その距離内には無数のαn\alpha_nがある.

 αn\alpha_nαn+1\alpha_{n+1}を比べたら, αn+1\alpha_{n+1}の方がα\alphaに近いなどと主張しているわけではない. そんな近場の2つの数列の比較など大切ではない. nnがとてつもなく大きい方がそうでない場合と比べ,α\alphaに近い. そして,α\alphaの付近にαn\alpha_nが密集しているということ.

 αn\alpha_nがだんだん近づくような,きれいな数列でなくとも収束する. 「大きくなるにつれて」などの語句は数列の本質を外してしまうので,誤解しないように注意.

 ここまですべて定義を言い換えたような主張を書いたが,位相構造の観点で書いてみようと思う. ただ本人はまだはっきりと位相構造を理解していないので,その点は注意だ.

 α\alphaに収束する数列{αn}\{ \alpha_n \}は,α\alphaと「近さ」で関係している. α\alphaとどんなに近いところにもαn\alpha_nがいる.

その他

 この概念は,実数の大小,加減,距離が定義されることで扱えるもの.